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美容室の会計ソフトの選び方|freeeとマネーフォワードを実務目線で比較
この記事の要点
- 選択肢は実質freeeとマネーフォワードの2つ。決め手は「数字を経営に使うかどうか」
- 申告書を完成させるのが目的ならfreee、試算表を見て経営判断したいならマネーフォワード
- 乗り換えコストが高いので、無料期間に自分の口座を連携して操作感を確かめてから決める
会計ソフトは、一度使い始めると簡単には乗り換えられません。データの移行、操作の学び直し、税理士との連携——選定を間違えたときのコストが、月額利用料よりはるかに大きい種類のツールです。
この記事では、美容室3店舗を経営し本業でFP&A(財務分析)を務める筆者が、美容室・美容師にとっての会計ソフトの選び方を整理します。ランキング形式ではなく、自分がどちらに当てはまるかで決められる形にしました。
そもそも会計ソフトは必要か
結論から言えば、確定申告をする立場なら必要です。理由は節税に直結するからです。
青色申告の65万円控除には複式簿記による記帳とe-Taxでの電子申告が要件になっています。これを手作業でやるのは現実的ではなく、逆にソフトを使えば銀行口座やクレジットカードの明細が自動で取り込まれ、仕訳が提案され、申告書まで作成できます。
年間1〜3万円程度の利用料に対し、65万円控除による節税効果は税率20%なら約13万円。費用対効果で迷う余地はほとんどありません。
選択肢は実質2つ
個人事業主・小規模法人向けのクラウド会計ソフトで、美容師・サロンオーナーが現実的に選ぶのは次の2つです。
| freee会計 | マネーフォワード クラウド | |
|---|---|---|
| 設計思想 | 簿記を知らない人でも申告書を完成できる | 会計ソフトとして数字を扱う |
| 入力の見え方 | ○×形式の質問に答えていく | 仕訳・試算表の形が見える |
| 簿記の知識 | ほぼ不要 | あると理解が早い |
| 金融機関の連携 | 主要な銀行・カードに対応 | 連携先3,600以上 |
| 他業務との連携 | 人事労務・請求書など自社製品で連携 | 給与・勤怠・請求書など自社製品で連携 |
| 向いている人 | とにかく申告を終わらせたい人 | 数字を経営判断に使いたい人 |
弥生会計など他の選択肢もありますが、銀行連携による自動化とクラウドでの法改正対応という観点では、この2つが実務上の主要な候補になります。
決め手は「数字を経営に使うかどうか」
機能比較表を眺めても決まらないので、判断軸を1つに絞ります。
会計ソフトを「申告のための道具」と見るか、「経営のための道具」と見るか
当社は後者の立場です。売上を客数×客単価に分解するにしても、経費比率を管理するにしても、月次で数字が見える状態になっていることが前提になります。会計データは、確定申告のためだけに1年に1回作るものではなく、毎月の経営判断の材料です。
この立場を取るなら、仕訳や試算表がそのまま見えるマネーフォワードのほうが馴染みます。逆に「経営の数字は別途自分で管理しているので、ソフトは申告さえ通ればいい」という方には、freeeの割り切った設計のほうがストレスが少ないはずです。
どちらが優れているという話ではなく、目的が違えば正解が変わるというだけです。
freee会計が向いているケース
- 簿記や会計用語にまったく馴染みがない
- 面貸し・業務委託で、経理といえば確定申告のことである
- とにかく質問に答えていけば終わる形式が良い
マネーフォワードが向いているケース
個人事業主の方はこちらです。
すでに法人の方は法人向けプランになります。
選ぶ前に決めておくべきこと
ソフト選びより先に済ませておくと、どちらを選んでも効果が大きく変わる準備が2つあります。
1. 事業用の口座とクレジットカードを分ける
これが最も効きます。事業とプライベートのお金が同じ口座に混ざっていると、自動で取り込まれた明細を1件ずつ選り分ける作業が発生します。分けてさえおけば、取り込まれた明細はほぼ全て事業の取引なので、判断がほとんど不要になります。
会計を楽にする最大の準備は、ソフトの機能ではなく口座の分離です。
2. 税理士に依頼する範囲を決める
税理士に記帳から依頼するなら、その税理士が対応しているソフトに合わせるのが合理的です。契約前に「freeeとマネーフォワードのどちらに対応しているか」を確認してください。ここを確認せずに選ぶと、後から乗り換えを求められることがあります。
無料期間の使い方
両サービスとも無料で試せる期間があります。ここで確認すべきなのは機能一覧ではなく、自分の実際のデータでの挙動です。
- 自分が使っている銀行・クレジットカードが連携できるか
- 取り込まれた明細に対する仕訳の提案が的確か
- 毎月見る画面(ダッシュボード)が自分にとって読みやすいか
とくに3つ目が重要です。毎月開く気にならない画面のソフトは、結局使われなくなります。 カタログスペックではなく、自分が続けられるかどうかで選んでください。
まとめ
- 青色申告65万円控除の要件上、会計ソフトはほぼ必須。費用対効果で迷う余地は小さい
- 実質的な選択肢はfreeeとマネーフォワードの2つ
- 決め手は「申告を終わらせたい」か「数字を経営に使いたい」か
- ソフト選びより先に、事業用口座の分離と税理士の対応ソフト確認を済ませる
- 無料期間には機能ではなく、自分の口座を連携して操作感と画面の読みやすさを確かめる
確定申告の実務全体の流れは美容室・美容師の確定申告のやり方にまとめています。
※料金プラン・機能・キャンペーンは変更されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。税務の個別判断は税理士にご相談ください。